昨年末から「山手線」「街道筋」などの「小さな旅」系のコラムを断続して書いています。その背景には、実は「ナポレオン戦争」から「秩父事件」まで、長いスパンで考える歴史的問題へのアプローチがあります。
前回も記しましたが3月には俳人の金子兜太さんとのCDブックが出ます。その先の仕事を準備する過程で「秩父事件」-「富岡製糸場」-「高崎線―山手線」-「フランス式イノベーションの押し売り」といった話題に行き当たりました。
それらをトピックスとして記してきたのは、2017年の混迷した国際情勢への温故知新という舞台裏があります。これから2回に分けて、この稜線をご紹介してみたいと思います。
どうも両者を切り離して記すと、ビューに極端な差が出るので、足して2で割ることにして、今回は時事の論点と、歴史の源流を繋ぎながらお話してみましょう。
「ムズい~分かりにくい」と言う人が多いことは想像がつきますが、しっかり読んでくださる読者の声に後押しされています。
2017年、前年のブレグジット、まさかと思われた米国大統領選挙の結果に続いて、この春にはフランスの大統領選挙が控えています。懸念されたことですが、やはり極右勢力が支持を伸ばし始めました。
フランス極右政権の可能性
世論調査の結果は、男性労働者層を中心に極右政党国民戦線(Front National=FN)女性党首であるマリーヌ・ルペン候補がトップの人気を集めたと報じられました。
父親のジャン・マリー・ルペン氏は長年泡沫大統領候補と目されていた右翼活動家でしたが、21世紀に入ってEU体制化で不満を募らせた層から集票して勢力を伸ばし、2010年に三女で副党首だったマリーヌ氏を後継者として引退しました。
彼女は父親同様に強行な右派でありながらソフトイメージで押し出し、2012年の大統領選第1回投票でオランド、サルコジ両氏に続く3位につける健闘ぶりを見せました。