決戦投票まで残り3カ月を切ったフランスの大統領選。ここに来て右派の公認候補で有力候補の1人だったフランソワ・フィヨン元首相(共和党)が、出馬断念の危機に見舞われている。
妻のペネロプ夫人を議員助手としてカラ雇用し、勤務実態がないのに不正給与を支払っていた疑惑が発生したのだ。夫人のほか子供2人も議員助手としてカラ雇用していた疑いがある。
不正給与の総額は1億円以上?
最初に疑惑を報じたのは、スクープで知られる風刺週刊紙「カナール・アンシェネ」(1月25日付)だ。フィヨン氏が国民議会(下院)議員時代の1997年から2012年まで夫人を議員助手としてカラ雇用していたほか、フィヨン氏と親しい経済人がオーナーを務める月刊文芸誌「レヴュー・デ・ドゥ・モンド(2つの世界の雑誌)」も夫人に約2年間、不正給与を支払っていたと報じた。
同週間紙は次の号で追い打ちをかける。夫人は1988年から90年までの3年間、勤務実態がないのに議員助手の手当を支給されていたうえ、大学生だった2人の子供も2005年から2007年までの間に議員助手として約8万4000ユーロを受け取っていたとスッパ抜いた。フィヨン一家が受け取った不正給与の総額は、雑誌社からの支給額も加えると「100万ユーロ余」(日本円で1憶2200万円)に上るとされる。
各メディアも連日事件を報道した。米国でニクソン大統領が辞任に追い込まれた「ウオーターゲート事件」になぞらえて「ペネロプゲート事件」と呼び、スクープ合戦を展開している。