警官による黒人男性性的暴行、抗議が暴動に 37人逮捕 フランス

仏パリ郊外のボビニーで、警察に対する抗議行動から発展した暴動で燃やされた仏ラジオ局RTLのバン(2017年2月11日撮影)。(c)AFP/Gregoire HOZAN〔AFPBB News

 2月初頭からフランスを揺るがしているのが、パリ郊外で発生した「テオ事件」だ。

 2月2日、移民や移民2、3世や失業者などが多いパリ郊外オルネー・スー・ボアでパトロール中の4人の警官がアフリカ系の青年「テオ」(22)を人定尋問した際に、テオが挑発したとして、殴る蹴るの暴行を加え、さらには警棒で性的暴行を働いたという事件である。

 テオは最寄りの警察署に連行されたが、警棒による負傷で全治60日と診断され、目下入院中だ。

 監視カメラで撮影された事件当時のビデオが公開されている。それを見ると、4人の警官がアフリカ系の男性を取り囲んでおり、やがて、男性を警察車の方に連行している。映像はそこまでしか映っていないが、テオが友人に語ったところによると、警官らは監視カメラに映らない壁の裏側でテオに暴行したという。

 警官側は「故意ではなかった」と述べ、意図的な暴行を否定している。警官の捜査を専門に行う国家警察総合検査局(IGPN)、通称「警察の警察」は捜査の結果、警官の主張を認めた。一方、傷害事件として事件を捜査した予審判事は、4人の警官のうち、1人を「暴行」、3人を「暴力行為」の容疑で起訴を前提にした本格的な取り調べを開始した。