フランスの警官の怒りが「目いっぱい」(各紙の見出し)に達している。
フランスでは10月中旬からパリを中心に、連日、「正当防衛の規定改正」「警官襲撃に対する罰則強化」などを政府に訴える警官たちの抗議デモが続いている。フランソワ・オランド大統領が10月26日にエリゼ宮(仏大統領府)で警察の労組代表者と会談して事態収拾を図ったが、怒りは収まりそうもない。
パトカー襲撃事件がきっかけに
事の発端は、10月8日にパリ郊外エソーヌ県ヴィリイ・シャティヨンで2台のパトカーが十数人の暴徒に襲撃され、警官4人が重傷を負った事件である。ヴィリイ・シャティヨンは治安の悪い地域だ。パトカーは、付近に設置された交通違反対策の監視カメラが破壊されないようにパトロールをしている途中だった。
4人の警官のうちの2人は火炎ビンによって手と顔に重度の火傷を負った。1人(女性、39歳)は1週間後に退院したが、1人(男性、28歳)は危篤状態でパリ市内の病院に入院中だ(10月27日時点)。
暴徒は全員が覆面をしており、パトカーを取り囲んで警官を内部に閉じ込め、窓ガラスを叩き割って火炎ビンを車内に放り込むなど「計画的な殺人」(デモに参加の警官)だったとされる。犯人は現在も逃走中で、1人も逮捕されていない。