トランプ新政権のジェームズ・マティス国防長官が来日して、日本側の在日米軍駐留経費負担は適切であり「他の国のモデルになる」と述べた。
トランプ大統領が選挙期間中からたびたび批判していた「日米の不公平な防衛負担」という問題がひとまず片づき、日本側の官民はほっと一息ついた観がある。
だが、トランプ氏が「不公平」と指摘していたのは、在日米軍駐留経費だけではない。駐留経費は、日米同盟全体からみれば少額の経費に過ぎない。
在日米軍駐留経費とは、日本国内の基地に駐留する米軍が基地貸与やその光熱費、日本人従業員の給与などに要する労務費を指す。つまり、基地を運営する費用である(米軍の活動そのものに要する費用は、すべて米側が負担することになっている)。
その在日米軍駐留経費の約75%を毎年日本政府が負担している。平成28年度の予算案では約3700億円が日本の防衛費の中に計上されていた。日本の防衛費は全体で約5兆円だから、日本の負担する米軍駐留経費はその10分の1以下に過ぎない。
むしろトランプ氏は、日米同盟の構造的な片務性や日本の防衛の内向き姿勢に強い不満を表明している。だから今後、トランプ政権が日本の防衛を未解決の案件として批判してくる公算はかなり大きいと言ってよい。