金正恩氏の妹らに制裁=北朝鮮の人権侵害で-米

北朝鮮・江原道を視察中の金正恩朝鮮労働党第1書記(中央、肩書は当時)(資料写真、2015年3月12日公開)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

 北朝鮮の人権状況をオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に付託し人権侵害の責任者を処罰するよう国連安全保障理事会に勧告する決議案を、2016年12月19日(現地時間)に国連総会が最終採択した(参考:「第71回国連総会本会議における北朝鮮人権状況決議の採択」外務省)。

 筆者は脱北者であり、現在は韓国で暮らしている。筆者から見て今回の採択はきわめて大きな意味を持つ。北朝鮮の人権問題のICCへの付託は、北朝鮮住民が人間としての尊厳と価値を取り戻すまたとない機会になると考えている。

人権侵害を主導・統制する金正恩

 人間としての尊厳と価値を保障される権利を人権という。個人は人権を保障してもらうために政府を組織し、選挙を通じて価値配分の権限をリーダーに任せる。リーダーが任されたその権力を私有化する場合、それを一人独裁という。独裁権力は絶えず強化していかなければならないが、これは人権蹂躙を前提にする属性を持つ。

 そのため、人権は革命の火種であり推進体となる。1776年7月に採択されたアメリカ独立宣言文も、1789年8月フランス革命で採択された「人間と市民の権利の宣言」という人権宣言分も、みな人権革命の結果物である。特に従来制度の封建的特権を廃棄し身分制度の足かせを打破したフランス革命は、人間の自由と平等、国民主権、財産権を保障する人権の根元とされる。

 人権の重要性は、1948年12月10日の国連総会で58カ国のうち50カ国の賛成によって採択された「世界人権宣言」を通じて公表され、1976年には国連の人権宣言が国際法に採択された。その後、ローマ規程に則って設立されたICCが国際法を担当している。ICCは集団殺害犯罪、人道に対する罪、戦争犯罪を犯した個人を訴追する常設の裁判所である。法律的にも機能的にも国連からは独立している。