軍事力は今なお米国が圧倒的という自信

 こうしたトランプ氏の言動や、同氏を支える人物たちの特徴をみると、トランプ次期政権が外交政策において特に中国への対応を重視し、断固とした姿勢で中国に接していくことは明らかである。中国の軍事的な攻勢を抑止するためには軍事力の行使もいとわないという決意も見てとれる。協調や融和を優先して対決を避けるオバマ政権の対中政策とは根幹が異なっているのだ。

 トランプ新政権のこうした強固な対中姿勢の背景には、今なお軍事力は米国が圧倒的な優位にあり、もしも軍事衝突が現実的となれば中国側は必ず譲歩あるいは妥協するという計算があるといえる。

 だが、中国が国家の根幹にかかわる「一つの中国」の大原則までトランプ新政権に否定された場合、台湾への侵攻に乗り出す可能性もあり、その展開は予測が難しい。米中関係はまさに波乱や激動を予感させる。

 こうした軍事面での衝突も含めて米国が中国と厳しく対決する場合、米国のアジアでの安全保障にとって、在日米軍や米軍基地の重要性がきわめて大きくなる。トランプ新政権にとっては日米同盟の価値がそれだけ高くなるというわけだ。

 その場合、日本としては、米中両国間の摩擦や対立に揺さぶられる危険性が高まる一方で、日米の米安全保障の絆が強化される機会にも恵まれる可能性が出てくることとなる。

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