ドナルド・トランプ次期米大統領がジェームズ・マティス海兵隊退役大将をトランプ政権の国防長官に指名した。
アメリカ海兵隊関係者からはもとより海軍関係者や陸軍関係者からも、この人選には大いなる支持が集まっている。アメリカの法律には「退役軍人が7年以内に長官職に就任するには7年の期間が必要である」という規定があるが、特例を連邦議会が許可する手続きは順調にクリアしそうである。
ただし、オバマ政権寄りのメディアなどでは、マティス大将に名付けられた「狂犬」というニックネームを強調して抵抗を示す風潮も見受けられなくはない。
「狂犬」というニックネームの由来
反トランプ陣営のメディアなどは、「『狂犬』マティス海兵隊退役大将」という表記をことさら濫用し、トランプ次期大統領が国防長官に指名しようとしている人物が「乱暴」「危険」であるというイメージを植え付けることに躍起になっている。
たしかにマティス大将が現役時代に、アフガニスタン戦争やイラク戦争においてテロリストや叛乱分子に対して強硬な発言を繰り返していたことは事実である。
そして、イラク戦争最大の激戦と言われているファルージャの戦いで第1海兵師団司令官として激戦を勝ち抜いたという戦歴が有名なため、その後の強硬発言と相まって、「極めてタフでしぶとく戦う軍人」という意味合いで「狂犬」というニックネームがつけられた。
国家への忠誠を第1のモットーに据えているアメリカ海兵隊が、飼い主に忠実な生き物とされる犬にたとえられるのは、実は目新しいことではない。最も有名なのは第1次世界大戦期に誕生した「悪魔の犬たち」という海兵隊のニックネームである。