(2)トランプ氏は選挙戦中の9月の演説で、米軍が世界規模で縮小していることを批判的に取り上げ、米軍の再強化を具体的に提案した。そのなかで、東アジアにおいて中国の軍拡を抑止の対象にする海軍や海兵隊の増強案を明示していた。

(3)トランプ陣営の防衛問題顧問であるアレックス・グレイ氏は、選挙投票日の直前の11月初め、トランプ氏自身の考えとして「中国の無法な軍事拡張に対して、まず十分な抑止力の効く軍事増強を実現し、『力の立場』から断固として交渉する」と述べていた。

(4)トランプ氏は当選から間もない12月2日、年来の「一つの中国」の原則を無視して台湾の蔡英文総統と電話会談をした。中国側から抗議が来たが、「中国に命令されるいわれはない」と撥ねつけた。

(5)さらに12月11日に、トランプ氏は「米国はなぜ『一つの中国』策に縛られなければならないのか」という疑問を提起した。「私は『一つの中国』策をよく理解している」と強調したうえでの発言だった。

(6)トランプ氏は12月21日に、新政権の対中政策の一環として「国家通商会議」を新設することを発表した。議長には中国への厳しい政策提言で知られるピーター・ナバロ氏(カリフォルア大学教授)を任命した。

(7)ナバロ氏は、中国が軍事力を強化して南シナ海、東シナ海で強圧的な攻勢を進め、米国の国益までも侵害しているとして、米国の軍事力増強と日本など同盟諸国との連携の強化による中国封じ込め策を訴えてきた。

(8)トランプ新政権にはその他、対中強硬派として知られるランディ・フォーブス前下院議員、ビル・タレント前上院議員、デーナ・ローラバッカー現下院議員、ジム・ウールジー元CIA長官らが政策顧問や次期政権幹部として参集している。