前編では、岩手県のさわや書店フェザン店から全国へと広がった「文庫X」の一大ムーブメントを起点として、僕が「文庫X」をどのように企画したのかという具体的な思考の流れについて書きました。
◎前編はこちら「大ヒット「文庫X」の仕掛人が語るアイデアの源泉」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48294)
ただ、そこで書いたことはあくまでも、後から振りかえって思考の流れを言語化したものに過ぎません。実際に何かを考えている時は、言語化したら切り捨てられてしまうような漠然とした思考の流れに乗っている、という感覚があります。
そして、そうした漠然とした思考からアイデアを生み出せるような土壌を頭の中に作り出すために、僕が普段から意識してやっていることが3つある、というところまで前編で書きました。それが以下の3つです。
● ネットの情報はなるべく見ない
● 圧倒的にインプットする
● 圧倒的にアウトプットする
この3つを続けてきたことが、「文庫X」を生み出す土壌になったと僕は考えています。後編では、この3つについて詳しく書くとともに、前編の冒頭で予告した残り2つのテーマ、
【「文庫X」のような企画を組織の中で発生させるための環境作り】
【「文庫X」の成功から見る、厳しい業界の中で生き残る方法】
についても触れていきたいと思います。
「頭の中の土壌を豊かにする」3つの習慣
● ネットの情報はなるべく見ない
ネットメディアであるJBpressでこんなことを書いてよいものか分かりませんが(笑)、僕はネットから得られる情報では戦えない、と考えています。なぜなら、ネットで得られる情報のほとんどは「みんなが知ってる情報」だからです。
「みんなが知ってる情報」を知らなくていい、というつもりはありません。ただ、思考やアイデアの源泉になるのは、「みんなが知らない情報」だという考えが僕の中にあります。
ネットでは、みんなが知りたいと思う情報ほど拡散され、やがて「みんなが知ってる情報」になります。さまざまなポータルサイトやまとめサイトが「みんなが知ってる情報」を集約し、さらにそれらが多くの人に知られることになります。
ネット上でも「みんなが知らない情報」を得ることはできます。さまざまな情報が集まるネット上には、それこそ多種多様な情報があります。しかし、ネット上で「みんなが知らない情報」に行き着くのは案外難しいことです。