今回は、近年「シェールガス革命」と呼ばれ、脚光を浴びている米国を中心としたシェールガス開発が、なぜ「革命」とまで呼ばれるのか、そして、このシェールガスがクリーンエネルギー産業に与える影響を分析します。
ここ数年、米国を中心に、従来の天然ガスの採掘技術では回収が難しい非在来型天然ガスの一種である、シェールガスの開発が活発化しました。
シェールガスとは?
シェールガスのシェールの語源である頁岩(けつがん)とは、泥土が堆積してできた泥岩のことで、シェールガスとは、この泥岩である頁岩に閉じ込められた天然ガスの呼称です。
それに対して、従来技術で生産されるいわゆる在来型天然ガスは、砂が堆積してできた砂岩の中に埋蔵されています。
シェールガスと在来型の天然ガスの大きな違いは、その埋蔵されている場所である頁岩と砂岩の浸透率の違いによります。浸透率とは、堆積岩中の流体の流れやすさを示し、浸透率が高いということは、ガスが堆積岩中を移動しやすくなり、その分ガスの生産性が高まります。
頁岩の浸透率は、砂岩に比べて非常に低いため、井戸を掘っても十分な生産量が確保できずに、経済性が成り立ちませんでした。これが、シェールガスの存在自体は長年知られていたにもかかわらず、最近まで開発が進まなかった理由です。
シェールガス台頭の理由
では、なぜ米国において、1990年初頭から一定レベルの生産量で安定推移していたシェールガスが、2005年頃から急速に伸び始め、今後もその生産量の上昇が予測されているのでしょうか?(図39)