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人間の遺伝子が導入されたヤギは、果たしてまだヤギと呼べるのだろうか(写真はイメージ)

(文:村上 浩)

サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで
作者:エミリー・アンテス 翻訳:西田美緒子
出版社:白揚社
発売日:2016-08-05

 科学の進歩は、地球に生命が誕生して以来の数十億年どこにも見られなかった奇妙な生き物を生み出している。バイオテクノロジーによる遺伝子操作だけでなく、電子工学とコンピューター技術の進歩も生命に新たなカタチを与え始めているのだ。

 キラキラと光る魚、薬の入ったミルクを出すヤギ、遠隔操作が可能なロボット昆虫。SFの世界でしか見られないと思ってい生き物は、既にこの世に存在している。

 本書『サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで』(https://www.amazon.co.jp/dp/4826901909?tag=mrkmhiroshi-22&ie=UTF8)で紹介される衝撃的な生物の事例の多くは起こりうる未来ではなく、私たちが気づかずに通りすぎた過去のものなのだ。

伝統的な改良よりも望ましい?

 生命を直接的に変化させるテクノロジーの発展は、倫理的問題を避けて通れない。ブルーライトやブラックライトで美しく光るグローフィッシュは、イソギンチャクやサンゴのDNAが入ったゼブラフィッシュであり、2004年からアメリカのペットショップで購入することができる。