東京都知事選の候補を消去法でみていくと?(資料写真)

 東京都知事選挙が告示された。私はもう25年、東京に住んでいる都民だが、都知事選のたびにまともな政策論争が行われず、人気投票のような形で知事が決まる傾向が強まってきた。これにはいい面と悪い面がある。

 いい面は石原慎太郎氏や猪瀬直樹氏のように、官僚機構や都議会にしがらみのない人が選ばれることだが、悪い面は青島幸男氏のように行政経験がないため、官僚のロボットになってしまうことだ。今回、有力候補とされる3人は、それぞれに長所と短所がある。

末期ガン患者の擁立は人命軽視

 最悪なのは、76歳の鳥越俊太郎氏(野党4党推薦)だ。彼は11年前に大腸ガンの手術を受けて「ステージ4だ」と宣告され、その後もガンが転移して合計4回の手術を受けたことを明らかにしている。

 ステージ4のガン患者の5年生存率は15%。ガンが4カ所に転移して今も生存しているのはほとんど奇蹟だが、彼が知事の激務に耐えて任期4年をまっとうできるとは思えない。彼を担ぎ出した野党4党は、彼の寿命を縮める人命軽視である。

 彼の立候補記者会見でも「私は昭和15年生まれで終戦のとき20歳だった」とか、政策は「これから考える」といい、強調したのは「改憲の流れを東京から戻す」とか「安倍首相はヒトラーと同じだ」といった話ばかりだった。

 これは2年前の都知事選に出馬した細川護煕氏や宇都宮健児氏と同じく、反原発という国政の問題を主張する舞台に都知事選を利用しており、都民を愚弄するものだ。当選しても、青島以下の知事になるだろう。