今回の参院選挙の見どころは2つだったと思う。1つは、改憲勢力が衆議院に続いて参議院でも、憲法改正発議が可能となる3分の2以上確保できるか否か、ということ。もう1つが、4野党の統一候補がどれだけの戦績を収められるか、ということだった。

「3分の2」問題争点化の効果は?

 民進党の岡田代表は、改憲派に3分の2以上の議席を獲得させないことを選挙の大きな争点として押し出していた。これに対して、安倍首相は、あくまでもアベノミクスの推進を前面に押し出し、岡田代表ら野党の憲法争点化を無視する作戦を展開した。

 開票日の記者会見で岡田代表が、「憲法の争点を隠すなど(与党は)逃げて逃げて戦いになっていなかった」と述べたが、そうだったのだろうか。

 確かに、この問題で与野党が激突するような論戦はなされなかった。だが朝日新聞の出口調査によれば、投票に当たってもっとも重視した政策課題は、1位が「景気・雇用」の28%、2位が「社会保障」の15%、3位が「憲法」の14%となっている。4位の「子育て支援」の13%よりも「憲法」が上回っているのである。新聞各紙も「3分の2」問題を積極的に報道していた。改憲がここまで選挙の焦点になったことは過去にはなかった。

 その意味では、野党側の作戦は、ある程度は功を奏していたのである。

 朝日新聞の出口調査によれば、1人区で公明党支持層の24%が野党統一候補に投票している。憲法改正とも関わって、自民党議員を増やすことへの抵抗感があったのではないだろうか。民進党が3年前より前進できた背景に、この作戦が貢献していたのかも知れないということだ。