“ミャンマー仕様”の新商品
貧困層に灯りを届けている企業人がいると聞き、会ってみたくなった。約束の17時より少し早めに指定されたコンドミニアムに到着すると、青と白のおなじみの看板を掲げたショールームはすぐに見つかった。
店内には、新品の冷蔵庫やレンジなどの調理家電、美容家電、テレビなどのAV機器、カメラがずらりと並ぶ。 きらびやかな雰囲気に半ば圧倒されながら展示を眺めていると、軽やかに階段を降りてきたのがその人だった。
パナソニック ミャンマー支店長の前田恒和さん。
温厚そうな笑顔に緊張がすぅっとほどけていく。「おとなしそう人だな」。そんな第一印象は、しかしながらすぐに訂正されることになった。
2階のオフィススペースに案内してもらいながら、二言三言、あいさつを交わしただけのわずかな時間にも、明朗で闊達、そして豪胆な人柄が伝わってきた。 会議室に入り、この国の電力事情について話し始めた前田さんは、予想通り熱かった。
「わが社の製品でこの国の社会課題を解決したい」「ミャンマー政府は2030年までに電化率を100%にするという目標を掲げている。逆に言うと、それまではわれわれがお役に立てる」
言葉の端々から使命感と情熱、そして自信がきらきらとほとばしるのが見えるようだ。そんな前田さんが届けているのは、「エネループソーラーストレージ」。日中に太陽電池で発電したエネルギーを電力として蓄え、夜間や灯りのない教室を照らすために活用できるLED照明が付いた小型の蓄電システムだ。
世界の無電化地域に灯りを届け、現地の社会課題の解決に貢献しようという取り組みは、同社が一丸となって進めている活動の一つである。
実際、同社は「創業100周年にあたる2018年までに非電化村に10万台のソーラーランタンを寄贈する」という目標を掲げ、2011年4月にはタンザニアへ1000台、2012年3月にカンボジアへ2000台、そして2013年にはインドに5000台のほか、ケニアの難民キャンプにも2000台を寄贈するなど、世界各国に届けてきた。
特に、ここミャンマーに対しては2012年から寄贈を開始。2015年までにこの国に寄贈したソーラーランタンは、累計9400台に上るという。