安倍首相は厳しい状況にある学生に「しっかり手をさしのべる」としているが・・・(写真はイメージ)

 今年になって「給付型奨学金」(返済の必要がない奨学金)をめぐる議論が活発である。安倍晋三首相は3月29日の記者会見で、首相は「本当に厳しい状況にある子どもたちには、給付型の支援によって、しっかり手を差し伸べる」と述べ、国として給付型奨学金を創設する方針を表明した。

 主要政党は6月の参議院選挙は、選挙権年齢を20歳から18歳まで引き下げた初めての選挙となるだけに、相前後して奨学金問題を政策課題として掲げている。

 かし報道によると、政府の「ニッポン1億総活躍プラン」では、大学生らを対象に給付型奨学金の創設について「検討」の表現にとどめる方針とされる。

 そこで今回は、国立大学を中心とする授業料が増大して家計や学生にとって大きな負担となっている実態などを確認しながら、給付型奨学金の必要性を説明していきたい。

大学進学費用がますます負担に

 マクロ統計でみると、大学をはじめとする教育費の高騰は、日本の物価を下支えしている。