オランダの通信大手会社が、ウズベキスタンでの通信事業参入と事業免許獲得において政府高官への贈賄行為を行い摘発された。この行為に関して、同社は米国当局およびオランダ当局に合計約7億9500万ドルの和解金(実質的な罰金)を支払うことで米国司法省と合意した(米国司法省の2016年2月18日の発表より)。
この和解金は同社の年間売上の約8%に達するもので、米国当局に支払われた和解金の規模でも、史上6番目にランクされるものであった。また、この贈賄事件に関しては、2015年11月に同社の前CEOがノルウェーで逮捕されるという事態ともなっている。
この事件はオランダの会社がウズベキスタンで贈賄行為を行ったことに対し、米国当局が主導して摘発したケースであり、米国の「連邦海外腐敗行為防止法」(FCPA:Foreign Corrupt Practices Act)の域外適用の典型的なケースである。
このように、米国司法省はFCPAの域外適用を積極的に展開しており、日本企業もこれまで4件3社が摘発され、合計で約4億ドルの和解金を支払っている。
米国司法省は今後も積極的に摘発する旨を表明しており、さらに、英国でも英国増収賄防止法(UKBA:Bribery Act 2010)が施行される等、今後日本企業の海外展開において、注視することが不可欠となっている。特に、新興国においては贈賄行為が頻繁に行われる傾向があり、特に留意する必要がある。
日本企業も摘発され多額の和解金を支払い
米国証券取引委員会(SEC:U.S. Securities and Exchange Commission)が1970年代に実施した調査において、400社以上の米国企業が海外の公務員・政治家等に3億ドルを超える贈賄行為をしていることが判明した。さらに、1976年2月にはロッキード事件が発覚し、米国企業の海外における贈賄行為を防止・取締の必要性から1977年12月にFCPAが施行された。