日本企業の謝罪の流儀「お辞儀考」

東京証券取引所での会見で改革計画を発表し頭を下げる日本マクドナルドホールディングスのサラ・カサノバ社長(2015年4月16日撮影、資料写真)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO〔AFPBB News

 最近、不祥事の発覚などにより、企業のトップが記者会見を行う映像をテレビで見かける機会が増えている。それらの映像では会見者の不用意・不適切な発言、不遜な態度、たどたどしい質疑応答等が映し出され、明確に企業側に責任があるということが視聴者に印象付けられる。

 そのため、こうした記者会見では技術的な(テクニカルな)側面が成否を左右するとの認識を持つ企業関係者も少なくない。これを受け、最近では「記者会見完全マニュアル」「記者会見の成功のコツ」等々、ハウツー本がかなり出回っている。

 しかしながら、筆者はこれまでの数多くの実務経験から、企業の対応の成否を左右するのは、記者会見における技術的な側面ではなく、「広報対応とは、企業の危機対応を含めたリスクマネジメントを写す鏡である」という点を理解しているか否かだと考えている。

 以下ではそのような側面から、緊急時の広報対応について解説したい。

好意的な情報よりも批判的な内容が即座に拡散

 近年の急激なICTの進展、企業活動・経済活動のグローバル化に伴い、情報が瞬時に伝わる時代となっている。これによって、各種情報が全世界に短時間で伝わり、企業活動にも大きなプラスがもたらされている。一方、根拠もないデマ等が流布される風評リスクも劇的に高まっている。

 さらに、情報過多の現代においては、企業にとって好意的な情報よりも、批判的な内容が伝わりやすく、その点からも細心の注意を払う必要がある。場合によっては、不確かな情報により株価等にも影響を与える可能性があるため、利害関係者を含めた社会全般との情報共有活動が極めて重要となっている。