2016年4月1日から電力自由化がスタートした。昨年年末からソフトバンクや東京ガスなどのCMがテレビをにぎわせている。東急電鉄やローソンも宣伝を出し始めており、ほぼ独占だった電気業界の大きな変化を予感させる。
日本企業のエネルギー業界での起業は、日本国内だけとは限らないようだ。未来をにらんだ自然エネルギー、あるいは再生可能エネルギーの分野での新しい試みは、すでにモンゴルを舞台に始まっている。
昨年出された「Energy outlook 2015」では原油価格が低くなっている現状が、長く続くのではないかとの予測なされている。
様々なシナリオの中で、特に、原油が1バレル50~60ドルを推移する状態が2020年まで続くというシナリオにおいては、他の様々なエネルギーの開発への投資が鈍るであろうと考えられている。そして現実は1バレル20ドルとさらに先を行く異常な状態である。
3.11でモンゴルも方針転換
1バレル50~60ドルで採算が取れるシェールオイルの投資が進むことを前提とするこのシナリオでは、2040年、インド、中国が中東の石油への依存度を強め(ほぼ中東産石油の9割)、米国はほぼ0となると予想している。
インドは近い将来的に中国の電力需要を抜くであろうと言われており、石油依存だけの危うい状態から、様々なエネルギー源を活用する方向へ政策が変わってきている。
福島第一原子力発電所の事故発生まで、インドを含めて、アジアにおける電力需要を満たすエネルギー源としては、原子力が注目されていた。世界有数のウラン鉱があるモンゴルにおいても、その開発と、原子力発電所建設が計画されていた。
現在の電力需要の90%以上を石炭火力発電に頼る状況、不足電力をロシアから買わざるを得ない状況を解決するため、計画は着々と進めていた。
先ほどのインドとの関係においても、2009年9月、エルベクドルジ大統領がインドを最初の海外公式訪問先に選んだ際にもまず両国間の話題に原子力開発の協力が上ったくらいである。
2011年3月以降、エネルギー源に関する問題において、自然エネルギーは大いに注目されるにことになった。