韓国国防省、米戦略兵器の追加展開も=空母派遣検討か、北朝鮮は反発

韓国の上空を、米軍のF16戦闘機(写真上)と韓国軍のF15K戦闘機(写真下)と共に飛行する米軍のB52戦略爆撃機。韓国空軍撮影。聯合ニュース配信(2016年1月10日撮影)〔AFPBB News

 北朝鮮の核実験、事実上の長距離弾道弾ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は、3月3日、対北制裁決議案を全会一致で採択した。翌日、金正恩第一書記は「新型大口径放射砲」の試験発射を現地指導し、激しくこれに反発した。

 3月7日、米韓将兵約32万人が参加する米韓合同軍事演習が韓国で始まった。北朝鮮は6日の外務省報道官談話に続き、7日には国防委員会が演習を厳しく非難している。

「朴槿恵がアメリカのやつらと相槌を打って、無謀な武力増強劇を繰り広げ、『先制攻撃』まで云々しているが、これは誰が見ても馬鹿げていて愚かなことだ」

「朴槿恵の狂気は、最終的に自滅の道を促すことになるだけだ」

 北朝鮮の激しい非難は今にはじまったことではない。だが今回の特徴は、「核弾頭」「斬首作戦」に言及したことだ。

中東・アフリカで米国が実施

「国の防衛のため、実戦配備した核弾頭をいつでも打ち上げられるよう、常に準備しなければならない」「今、敵が我々の尊厳と自主権、生存権を傷つけようと発狂し、いわゆる『斬首作戦』と『体制崩壊』のような最後の賭けに出ていることからして、情勢はもはや傍観できない険悪な状況に至った」

 日本では「斬首作戦」はいまだ人口に膾炙した言葉ではない。別に刀で首を切ることではなく、独裁者やテロ指導者を直接攻撃し、排除する作戦を言う。「Decapitation Attack」の英訳であり、日本では「断頭作戦」と訳す場合もある。

 この作戦は2003年のイラク戦争、2011年のリビア内戦、あるいはシリア、イラクでのIS(イスラム国)空爆などで、米軍が既に実施している。

 クラウゼウィッツを出すまでもなく、戦争とは意思を敵に強要するための暴力行為である。あくまで暴力行為は手段であり、目的は意思の強要である。意思の強要さえできれば、暴力行為は必ずしも必要ではない。外交が血を流さない戦争と言われるゆえんである。

 戦争の勝敗は、どちらか一方が相手の意思に屈服した瞬間に決まる。屈服するかどうかを決定できる者、つまり国家意思決定者が相手の意思を受け入れることを決した時、戦争は終わる。

 独裁国家の場合、戦争の開始も終結も、独裁者の一存で決まる。であれば独裁者の意思さえ挫くことができれば、独裁国家との戦争は勝利できる。