昼の発着枠をめぐって日米交渉が行われている羽田空港。そもそもなぜ羽田を国際化するのか?(資料写真)

 羽田空港の昼の発着枠をめぐる日米交渉が難航している。2月9日に開催予定だった日米航空協議は、米国側からの申し出によって16日に延期となった。今回、羽田の発着枠として割り当てられる便数に限りがあり、これに対して米国側が難色を示していることが主な原因と考えられる。

 デルタ航空は今回の日米交渉にあたり、羽田が部分的にしか開放されない場合には、日本発着便を大幅に減らし、中国にハブ空港(拠点空港)を移転させる可能性があることを示唆してきた。

 成田に大きな既得権益を持つデルタ航空が、引き続き羽田でも優位に立つための交渉戦術とも考えられるが、一方で、こうした混乱が生じているのは、場当たり的に空の玄関口を変えてきた日本の航空行政の結果といってもよいだろう。

 羽田の国際化は話題ばかりが先行し、「そもそもなぜ羽田を国際化するのか」という根本的なテーマについては輪郭がぼやけたままである。空の玄関口をどのような考え方に基づいて、どこに設置するのかは、経済政策そのものであり、その国のセンスが問われる問題でもある。

羽田の国際線枠は決定的に不足している

 政府は、日本の国際化を推進するという立場から、一度は成田に移管した国際線を再び羽田に戻すという試みを行っている(羽田空港の国際化)。しかし、羽田の国際化については、発着枠が根本的に不足しているという現実があり、これが様々な問題を引き起こしている。