加えて、コンサルティング会社大手ベインによると、中国企業とのパートナーシップを結ぶ欧米企業は、将来ライバルになる可能性の低い比較的小規模企業をパートナーとして選定、ジョイントベンチャーの支配権を確保しています。
そのうえで、中国現地製造部門の重要ポストへの本社スタッフ派遣、重要部品は本国で製造し、中国では部品の組み立てを行う製造プロセスの分離といった様々なIP保護対策を実施しており、国際協業モデルの運用の苦労がうかがえます*18。
クリーンエネルギーの国際競争
「先進国がコア技術を供給し、中国が製造する」クリーンエネルギーの国際協業モデルが確立・導入され、機能した結果、中国のクリーンエネルギー産業は急成長を遂げました。
太陽電池セルと風力タービンを例に、現在の世界のクリーンエネルギー産業の勢力図を見てみましょう。まずは、太陽電池セルの世界マーケットシェアです(図25)。

PV-Tech.orgによりますと、2008年に太陽電池セルは、世界で約6700MW(メガワット、1メガは100万)製造されました。
中国の3社だけで世界の15%を占める
そのトップ10製造会社の中に、Qセルズ(独)、シャープ(日)、ファーストソーラー(米)などのお馴染みの先進国企業に加えて、中国企業3社、サンテック、インリー、JAソーラー、がランクインしており、この中国3社だけで全世界の太陽電池セル製造の15%のシェアを占めました。
サンテックにいたっては、トップのQセルズと僅差の第3位のシェアを誇っています。
次に、風力タービンの製造会社シェアの現状を見てみます(図26)。

Environmental Leaderによると、2008年に世界で製造された風力タービンの規模は、約3万MW。