(文:内藤 順)
昨年の山口組分裂騒動を受け、多くのメディアを賑わせた極道の世界。その一方で、ヤクザの総数は今や全国で6万人を切ったとも言われる。もはや絶滅危惧種とも言われ、岐路に立たされるヤクザ達だが、その実態はどのようになっているのだろうか?
報道やフィクションでは目にすることの多いヤクザの世界を、地上波のドキュメンタリーという形で映し出したのが、本作『ヤクザと憲法』である。2015年3月31日に東海テレビで放送されたこの番組は、取材クルーが100日近く密着することでヤクザの日常を描き出した。現在、テレビでは未公開となったカットも追加したものが映画版として再編集されており、いくつかの劇場で見ることができる。
取材クルーがヤクザと決めた取り決め
取材を受けたのは、大阪にある指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」である。27人の組員を束ねる親分は川口 和秀・会長。「暴力団対策法」制定のきっかけとなった「キャッツアイ事件」の際に殺人容疑などで逮捕されており、15年の実刑判決を受けたこともある。まるで役者かと思わせるようなイケメン親分だ。