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アメリカには、産業界にとどまらず政治や思想においても強大な影響力を発揮する知られざる一族がいるという(写真はイメージ)

(文:村上 浩)

 世界最強国家アメリカで、最も影響力を持つのはどの一族だろう。

アメリカの真の支配者 コーク一族
作者:ダニエル・シュルマン 翻訳:古村 治彦
出版社:講談社
発売日:2015-12-09

 二十数年間で2人の大統領を輩出し、さらに3人目の大統領候補を送り出そうとしているブッシュ家だろうか。世界最大の石油企業スタンダード・オイルに始まり、金融や軍事関連企業を次々と傘下におさめ、政界にも強いコネクションを持つロックフェラー家だろうか。

 夫婦で大統領となる可能性の出てきたクリントン家や世界一の大富豪として慈善活動を強力に推進しているビル・ゲイツなど、大きな力を持つアメリカ人の名前は数多く思い浮かぶ。

 ところが、左派系メディア『マザー・ジョーンズ』誌シニア・エディターである本書の著者は、Wikipediaの日本語版にも個別記事がなく、日本ではその名を知る人の少ないコーク四兄弟こそが、「現在のアメリカにおいて、最も影響力を持ち、強力で、人々の耳目を集め、嫌われている人たち」であるという。

産業界のみならず政治や思想においても大きな影響力を発揮

本コラムはHONZの提供記事です

 コーク一族が所有・経営する非上場企業のコーク・インダストリーズは、売上11兆5000億円、従業員数10万人以上という規格外の規模を誇る。また、この企業グループが取り扱う製品はガソリン、ステーキ肉、窓ガラスから肥料にまで及ぶため、アメリカで生活していれば毎日何れかのコーク社製品を使用していることになる。