米ブルームバーグの報道によると、米アップルは台湾に秘密のディスプレイ開発施設を持っているのだという。
より薄く、軽く、高効率に
施設があるのは、台湾北部の龍潭(ロンタン)。この施設は2008年から米クアルコムの台湾子会社、クアルコム・パネル・マニュファクチャリングが使用していた。しかしこのクアルコムの子会社は昨年11月に台湾TSMC(台湾積体電路製造)に買収された。
その後どういう経緯があったかは不明だが、ブルームバーグが登記簿を調べたところ、同施設は今年4月にアップルに移管された。
また事情に詳しい関係者の話によると、現在同施設には50人以上の技術者がいる。アップルは地場のディスプレイメーカーであるAUオプトロニクス(友達光電)や、クアルコムからも人材を雇い入れていると、ブルームバーグは伝えている。
ブルームバーグによると、アップルはより薄く、軽く、画面が明るく、エネルギー効率の高い「iPhone」「iPad」「Mac」の実現を目指しており、これらに搭載する次世代のディスプレイを台湾で開発している。
これらは現行のiPhoneなどに使用されているものよりも先進的な液晶ディスプレイ。さらに同社はバックライトが不要で、現行の液晶ディスプレイよりも薄い、有機ELディスプレイ(OLED)にも積極的に取り組んでいるとブルームバーグは伝えている。
アップル、ライバルへの依存度低下も狙う
こうした研究開発によって、今後はこれまで以上に薄く、軽く、バッテリー駆動時間の長いiPhoneが登場する可能性がある。ただブルームバーグは、ディスプレイ技術を直接開発することは、アップルにとってもう1つのメリットがあるとも伝えている。
自社で製造プロセスを開発することでアップルは、AUオプトロニクスやイノラックス(群創光電)といった台湾の地場メーカーに部品をアウトソーシングできるようになる。結果として、韓国サムスン電子や韓国LGディスプレイから供給される部品を減らすことができ、ライバル企業への依存度を低減できると、ブルームバーグは伝えている。