韓国の関税庁は2015年11月14日、ソウル市内の3つの免税店の営業許可入札の結果を発表した。免税店最大手のロッテグループは、対象となった2店舗にうち1店舗の営業権更新に失敗してしまった。
何ともタイミングの悪い発表だった。関税庁の決定の翌日にあたる11月15日はロッテグループ創業者、重光武雄(辛格浩=シン・ギョクホ)総括会長の94歳の誕生日だった。
94歳誕生日前日の「落選」
韓国事業の事実上の責任者である次男の重光昭夫(辛東彬=シン・トンビン、1955年生)会長はこの日、ソウル中心部にあるロッテホテルに姿を現した。長期滞在中の重光武雄総括会長の部屋での誕生日を祝う家族の集まりに出席するためだ。
待ち構えていた韓国メディアの記者たちからの「免税店」に関する質問に短く答えた。
「予想もしない事態となった。99%、私の責任です」
ロッテグループにとっては痛恨事だった。
今回、関税庁が実施した入札とは何か。
免税店の営業許可は関税庁が所管だ。ソウルにある3店舗の営業許可期限が年末に切れることに伴って、新規事業者の選定を実施したのだ。
年内に期限が切れるのは、ロッテグループの本店(市内中心部)、江南地区の蚕室(チャムシル)にある「ロッテワールド店」、SKグループがソウル東部の「ウォーカーヒルホテル」で手がける店舗だ。
既存の3店舗を運営するロッテ(2店舗)とSKグループは営業権更新を申請した。
さらに、ロッテグループと並ぶ韓国の流通大手、新世界グループが、ソウル中心の南大門(ナンデムン)近くの百貨店本店で免税店許可を申請した。
さらに、斗山(トゥサン)グループは、東大門(トンデムン)地区の大型ファッションビルでの許可を申請した。
有力財閥の同士の激突となったが、関税庁が選定したのは、ロッテグループの本店、新世界グループ、斗山グループの3店だった。