・日本は、北朝鮮に拉致された自国民の救出を国民的な悲願としている。韓国の主導による南北統一は拉致問題解決の歴史的な機会ともなる。そのためには、統一プロセスの早い段階から日本が関与することが欠かせなくなる。
・南北統一を果たした朝鮮半島は、日本の経済にとっても大きな新市場となりうる。そのためには日本が経済面でも南北統一に至るまでのプロセスに関わっておくことが必要となる。
・南北朝鮮の統一というアジア情勢の激変においては米国の果たす役割が決定的となるが、日本が米国の同盟国として米国と歩調を合わせて南北統一に関与することは、日本の対米関係の強固な維持のためにも重要となる。
南北統一のプロセスから日本を排除?
クリングナー氏は以上のような諸点を挙げながら、朝鮮半島の南北統一には、韓国にとっても日本にとっても日本の関与が欠かせないという点を強調していた。
しかしクリングナー氏によると、韓国の朴大統領は南北統一に関して「日本」の名をまったく出さず、あたかも日本をそのプロセスから排除するかのような冷淡さを見せている。また日本側でも朝鮮半島の南北統一の可能性をそもそも語る向きが少ない。まして日本の南北統一への関わりに言及する論評がまったく見えてこないという。
クリングナー氏は、こうした現状は、日韓両国が歴史問題などを原因として反目を深めてきたからだと分析し、朴大統領に対しては「南北統一への動きには必ず日本を関与させる」ことを強く提案していた。
こうした点が10月16日からの朴大統領の米国訪問でどのように提起されるのか注視される。