8月24日に1バレル=37ドル台に下落した米WTI原油先物価格は、9月に入り同45ドルを中心とする値動きが続いている。方向感に欠ける原油相場は一進一退の展開が続いており、「ニュース主導型の市場となっている」(9月23日付ブルームバーグ)との見方もある。今回は、筆者が注目しているいくつかの動きについて述べてみたい。
原油需要が伸び悩む米国
まずWTI市場に直接影響を与える米国の動きだが、9月18日、米国の石油リグ稼働数が3週連続で減少したことが明らかになり、これまで続いてきた減産の動きに拍車がかかるとの見方が広がった。
米エネルギー省の予測によれば、来年半ばまでに国内生産量は最大10%(日量94万バレル)減少する可能性がある。9月23日に発表された週間統計でも米国の原油在庫は市場予想を下回り190万バレル減少したことが分かった。
だが、このような需給状況の改善につながる動きにもかかわらず、原油価格は上昇しなかった。米国ではドライブシーズンが終わる秋以降のガソリンの不需要期に、製油所が整備点検を行うため原油需要が減少する。そのため、「原油在庫の減少は当面最後かもしれない」(9月23日付ブルームバーグ)と考える市場関係者が多かったからだ。
季節要因に関係なく米国の原油需要が今後減少する兆候もある。米国の昨年の原油消費量は2003年に比べて5%減少した。その主要因は、国民1人当たりの自動車走行距離の減少だ。ガソリン価格の低下により今年5月に自動車走行距離は過去最高を記録したが、「傾向としては伸び悩み」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の状況である。