前回(「要注意!タイで日本企業を待ち受けるリスクとは」)は、新興国のビジネスリスクシリーズ第1回としてタイを取り上げた。今回は日本企業の関心が昨今急激に高まっているミャンマーのビジネスリスクを見ていこう。
市場経済に復帰し、高GDP成長率を維持
ミャンマー連邦共和国は日本の約1.8倍の面積を有し、約5193万人の人口はASEAN諸国10カ国中、5番目の規模となっている。
ミャンマーは、ビルマ族68%、シャン族9%、カレン族7%、ラカイン族4%の他、少なくとも100以上の少数民族を有する多民族国家となっている。また、宗教的には仏教89%、キリスト教4%、イスラム教4%などとなっている(民族および宗教については米CIAの "World Factbook" による)。
ミャンマーは1962年以降、軍事独裁政権が続いていたが、88年に市場経済復帰を宣言し、外資導入など経済政策を大きく転換した。それ以降、高いGDP成長率を維持している。
従来からミャンマーにおける投資環境は、労働コストが極めて低廉であるという利点を有していた。また、労働人口が豊富であり、天然資源にも恵まれ、さらに高い識字率、勤勉・温和・親日的な国民性など、潜在的な投資環境は良好であった。このような状況の中で、ミャンマーでは2011年3月30日、民政移管が行われ、投資環境はさらに良好なものになっていると言える。