米国シェール企業の経営危機が顕在化か
今や世界の原油市場のスイングプロデューサーになった米国のシェール企業だが、米エネルギー省は4月の生産量(日量569万バレル)をピークにその後緩やかな減産が続くと予測している。
シェールの優良鉱区が広がる北部のバッケン地区では、6月の1油井当たりの産油量が前年比約1.5倍に拡大しているなど、1油井の平均生産量が伸びている。そのため、稼動リグ数が大幅に減少しても、原油生産が急激に減ることはないと見られている(リグ数の減少が第3四半期の序盤に底打ちするとの見方も出ている)。
米国の原油生産は約30年ぶりの高水準に達しているが、シェール企業のアキレス腱も気になるところである。シェールブームの原動力となった債務がシェール企業各社を脅かしているからだ。
6月19日付ブルームバーグによれば、各企業が支払う利息がこれまでにないほど増加しており、「世界最大級の産油地帯であるノースダコタ州バッケンシェール層の開発で知られるコンチネンタル・リソーシズが支払う利息は、同社の20倍の規模のエクソンモービルとほぼ同水準に達し、シェール企業62社のうち27社で売り上げの10%以上が利息の支払いに回されている(1年前は12社だった)」「シェール企業の債務は過去1年間で16%増加し、第1四半期末時点で総額2350億ドルにまで膨らんだ」という。
シェール企業が抱える問題は、原油価格が1バレル=100ドルの時代でも一貫して売り上げを上回るペースで支出してきたことだ。シェール関連企業のジャンク債発行が増加傾向になったのは2009年以降であり、2012年以降に顕著に増加した。2019年以降は債券の償還が増加し始めたが、価格下落の影響で、米企業の5月のデフォルト率は2009年以来、最も急増している(6月17日付ブルームバーグ)。今後は「流動性」が大きな問題になるだろう(シェール企業の頼みの綱である先物取引から生じる利益は2015年9月に失効するケースが多い)。