天照大神(アマテラスオオミカミ)が隠れた天岩戸の前で、天鈿女命(アメノウズメ)が舞ったのが、その起源とも言われている「神楽舞(かぐらまい)」。
神楽は、神社の祭礼で神様に捧げる歌舞であり、宮崎県の「高千穂神楽」、島根県の「石見神楽」、長野県の「太太神楽(だいだいかぐら)」など、日本神話に縁のある地をはじめ、全国各地でさまざまな神楽舞が継承されています。この神楽舞を「地域性」の観点から研究する、新たな試みがあります。
國學院大學経済学部 准教授の山本健太氏は、経済地理学を専門とし、特定の業種が特定の地域に集まる「産業集積」などの研究に携わってきました。山本氏は、神楽は「地域資源」だと語ります。ただし、それは、観光資源だけを指すわけではありません。
急速に過疎化が進む地方では、「神楽」を観光資源にし、多くの人に触れてもらおうという試みがある一方で、観光資源にすることで「本来の神楽から離れていくのではないか」と懸念する声もあるようです。「神楽」を受け継ぐ人々は、その舞にどのような思いを重ねているのでしょうか。
地理学から「神楽」に迫る
経済地理学を専門とする山本氏は、県立広島大学准教授の和田崇氏と共同で、神楽についての研究をしています。山本氏は、なぜ「神楽」に注目したのでしょうか。