ブータン「幸福度」調査、日本の技術で精度向上へ

国民の幸福度を1人当たりのGDP(国内総生産)ではなく「国民総幸福(Gross National Happiness、GNH)」として指数化しているブータン。写真は伝統衣装を着た女子生徒〔AFPBB News

 「金持ちは幸せである」

 この言葉を聞いてあなたはどう思うだろうか。直感的に違和感を覚える方も多いのではないかと思う。

 米国のプリンストン大学が45万人を対象に2008年から2009年にかけて行った年収と幸福度の関係に関する調査によると、年収が7万5000ドルまでは年収と幸福度とが比例したが、年収がこれを超えるとその比例関係は見られなくなった。

 研究者たちによると、お金があればあるほど幸せになるというわけではないが、お金が少ないということと感情的な苦痛とは関連しているとのことである。

 7万5000ドルを現在のレートで日本円に換算すると930万円ほどに、調査が行われた2008年のレートで換算すると770万円ほどになる。

幸福度に比例しなくなる年収増

 物価の変動、米国と日本の所得水準の違い、環境・文化の違いなどを考慮すると、この7万5000ドルに相当する金額を正確に日本円で算定するのは難しいが、770万円から930万円をおおよその目安とすることはできる。

 参考までに、国税庁「平成25年分 民間給与実態統計調査」によると、平成25(2013)年の平均年収は414万円。

 全所得者に占める年収が700万円以上の人の割合は12.3%、800万円以上の人の割合は8.3%、900万円以上の人の割合は5.6%、1000万円以上の人の割合は3.9%となっている。

 一定の年収を超えると幸福度との比例関係が見られなくなったというこの結果に関し、いくつかの原因が考えられる。

 まず、年収が高い仕事は、責任やプレッシャーが重く、長時間残業や休日出勤も当たり前など業務時間も長くなることが珍しくないため、幸福感が感じられなくなるということが考えられる。