米国フロリダ沖150キロほどの距離に浮かぶカリブ海の小国キューバ。
半世紀以上にわたり、国交が断絶する両国で、バラク・オバマ大統領とラウル・カストロ国家評議会議長との首脳会議が実現、国交正常化に向け動き始めた。
スペイン語の響きが心地よい音楽に溢れる映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)で垣間見たコロニアル建築の街並み。今も現役の半世紀前のアメ車「カチャロス(おんぼろ車の意)」。フィデル・カストロの代名詞でもある葉巻「コイーバ」。
アーネスト・ヘミングウェイが愛したカクテル「モヒート」。砂糖製造の副産物でもあるラム酒「ハバナクラブ」。昨年MLBオールスターに5人の「出身者」を送り込んだ野球。「テロリスト」とされる者が収容されているグアンタナモ米軍基地・・・。
様々なキューバのイメージは、米国、スペインとの歴史を抜きにして語れない。
スペインの植民地防衛拠点となったカリブ海の島々
1492年、クリストファー・コロンブスは、バハマ諸島で、初めて「新大陸」に到達、続いてキューバ島に上陸した。さらに、東に位置するイスパニョーラ島へと航海は続き、2回目の探検ではプエルトリコ島も「発見」。
やがて、砂糖が経済の中心となったカリブ海で欧州諸国が植民地化を加速させるなか、それぞれの島の中心地、ハバナ、サントドミンゴ、サンフアンは、コロンビアのカルタヘナとともに要塞化され、新大陸をものにしたスペインの交通の要衝、そして、植民地防衛拠点となった。
しかし、隙をつかれ、イスパニョーラ島西部はフランス領となり、18世紀後半には、世界一の砂糖生産を誇るようになる。
プランテーションでの黒人奴隷の待遇は酷いもので、やがて、フランス革命の影響もあり、ハイチ革命が勃発。1804年、人口の大多数を占める黒人が支配権を握る国家が誕生した。