ポール・マッカートニーの来日公演が始まった。昨年5月、来日しながら急病で公演中止となり、世を心配させたが、ビートルズ、ウィングス、そしてソロ。最新アルバム「NEW」に至るまで、そのパフォーマンスは健在だ。
現在劇場公開中の『JIMI:栄光への軌跡』(2014)は、1942年生まれ、ポールと同い年だった天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス、米国ブレイク前までの逸話集とも言える映画。
歴代ナンバーワン・ギタリストとの評価も多いその役を、ジミ同様、特異なファッションセンスで知られる「Ms. Jackson」などのナンバーワンヒットを持つヒップホップデュオ、アウトキャストのアンドレ・3000が演じている。
映画は、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズのガールフレンドが強力にプッシュしたこともあって、1966年9月、ロンドンにやって来たジミが、希望かない、クリームのコンサートに飛び入りする様を映し出す。
当時、既に、そのメンバー、エリック・クラプトンのギタリストとしての才能は、広く知れ渡っていたのである。
ブルースという共通点
その「飛び入り」はブルースの名曲。2人にはブルースという共通項があった。
クリームの「Sunshine of your love」などと並ぶ代表曲「Crossroads」も、並外れた才能と流浪生活から、ミシシッピの「クロスロード」で悪魔と取引した、との伝説があるブルースギターの名手ロバート・ジョンソンの名曲のカバー。
わずか29曲を遺し27歳で早世したジョンソンの別テイクをも含めた全音源集「The Complete Recordings」がリリースされた時、クラプトンはキース・リチャーズとともに、存在の大きさをライナーノーツで語っている。