日本の国債市場が“死にかけている”──。
と言っても、財政問題を言っているわけではない。
アベノミクスの打ち出した「柔軟な金融政策」に基づいて黒田東彦・日本銀行総裁が実施しているのが量的・質的金融緩和(いわゆる異次元緩和)だ。その結果、国債市場は自らの機能を失った。
日銀の強烈な買い入れでマイナス金利に
黒田日銀総裁は2014年10月31日、異次元緩和の追加緩和を打ち出した。これは「黒田バズーカ」と揶揄されるほど強烈な金融緩和だった。
追加緩和では、それまで年60~70兆円のペースで増加させるとしていたマネタリーベース(資金供給量)を約80兆円まで拡大するとした。さらに、中長期国債の買い入れペースを現状の年間約50兆円から約80兆円へと30兆円増やし、その平均残存期間も、それまでの7年程度から7~10年程度に最大3年延長することを決めた。
年間約80兆円の国債の買い入れとは、日銀が「毎月の長期国債を8~12兆円買い入れる」ことになる。現在政府が発行する長期国債は毎月10兆円程度。この緩和が以下に常識外れかお分かりだろう。
この結果、2015年1月20日には、長期金利の基準となる10年物国債の利回りが初めて年0.2%を割り込み、年0.195%まで低下、史上最低金利を更新した。