ドイツレストラン業界は、ミシュランガイド2015で過去最高の282店が星を取得した。
なかでも、ベルリンで活躍する2つ星シェフのティム・ラウエ氏は、首都の「食の大使」として2013年米オバマ大統領歓迎晩餐会、そして昨年11月には、ベルリンの壁崩壊25周年記念特別イベントで料理を担当するなど、目を見張るばかりの成功を収めている。
一方で、ラウエ氏の生い立ちは、両親の離婚、貧困、家庭内暴力、ストリートギャングなど、今の華やかさとはかけ離れたものだった。居場所がなかった10代後半、ギャング仲間と一緒に殴り合いをするなかで目覚めた料理への道とは、そしてその後の成功を取材した。(以下敬称略)
日本、タイ、中国の料理法を最大限に生かした味を提供
ラウエ(41歳)は、アジアの食材にインスピレーションを受け、「酸味、甘味、辛味」をコンセプトとした創作料理を得意とする。日本料理の完成度の高い味、タイ料理のアロマ、あらゆる食材を用いる中国料理の食に貪欲な姿勢を基に料理を提供する。
数多くのレストランで経験を積んだ後、ラウエは2010年9月に自身の経営するレストラン「Tim Raue」を開店した。その後、まもなくミシュランの1つ星を獲得、続く2012年には2つ星を獲得すると、ラウエは一気に脚光を浴びるようになった。