経営力がまぶしい日本の市町村50選(35)

 鳥取市は、人口19万3419人(推計人口、2014年12月1日現在)の特例市で、全国で最も人口が少ない県庁所在地であり、観光地としては、鳥取砂丘や白兎海岸などが有名である。

 特に千代川の流砂と大山の火山灰によって作られている鳥取砂丘は東西に16キロ、南北に2.4キロという非常に広大な 範囲に渡っており、強風によって砂が巻き上げられることによって作られる独特の景色は風紋と呼ばれ高い人気を集めている。

馬の背と呼ばれる鳥取砂丘の第2砂丘列(ウィキメディアコモンズより)

年間50万人が訪れる、自然を活用した美術館

 そんな鳥取砂丘に、世界で唯一「砂」を素材にした彫刻作品を展示する「砂の美術館」がある。2012年4月にオープンして以来、年間約50万人が訪れる人気スポットである。

 総合プロデューサーの茶圓勝彦氏は、砂像彫刻家として「世界が尊敬する100人の日本人」(ニューズウィーク日本版2009年7/8号)にも選ばれたほどの逸材で、毎年海外から砂像彫刻家を招いて世界トップレベルの作品を展示している。

 美術館ができる前の屋外開催から数えると今年で第8期目を迎えるが、テーマは毎年変わり*1、そのスケールの大きさを物語っている。

 素材が砂であるため彫刻作品は時間の経過とともに崩れがちで、その時その場所でしか観ることができないという希少価値も魅力であり、毎年訪れる観光客も少なくない。

 また、館内や屋外広場から鳥取砂丘を眺望できたり、日没後にはライトアップされた砂像を見ることができるなど、自然との共生が上手く実現され一層の魅力を引き出している。地域の自然をフル活用した施設という点で、砂の美術館は大いに注目に値する好事例と言える。

*1 第1期「イタリア・ルネサンス」、第2期「世界遺産・アジア編〜アジアの風にのって〜」、第3期「砂で世界旅行・オーストリア編〜貴族文化と音楽の都を訪ねて〜」、第4期「砂で世界旅行・アフリカ 〜偉大なる大陸の歩みを訪ねて〜」、第5期「砂で世界旅行・イギリス 〜語り継がれる大英帝国の繁栄と王室の誇り〜」、第6期「砂で世界旅行・東南アジア編 〜王朝の栄華とよみがえる神秘の国々〜」、第7期「砂で世界旅行・ロシア編 ~帝国の激動の歴史と芸術の都を訪ねて~」、第8期「砂で世界旅行・ドイツ編〜中世の面影とおとぎの国を訪ねて〜」