先週、欧州投資家を歴訪し、2015年の投資戦略に関して意見交換をした。欧州投資家に説明したことは、① 2015年は画期的好況の年となる、② 今や世界標準となったQEが株価を大きく押し上げる、の2点である。程度の差はあるが、ほとんどすべての投資家は同意した。投資家層の見方はかつてなくポジティブな方向で一致している。

 となると、共通の疑問は、なぜ日本株のパフォーマンスが停滞しているのか、といういぶかしさである。そのいぶかしさが日本経済指標の着実な改善と日本株騰勢開始で解消されるのは、間もなくではないか。

(1) なぜ2015年、日本経済はバブル崩壊後最高の好況になるのか

消費税の下押しから原油安の上振れへ

 第1に、2014年度と2015年度で2つの特殊要因が重大なスウィングフアクターとして作用する。2014年度は消費税が8兆円(対GDP比1.6%)の購買力を民間経済から奪った。2015年度は原油価格の下落*が10兆円(GDP比2.0%)近い購買力を生み出す。ベースが消費税増税後となる2015年4月以降、3.6%もGDPが押し上げられるのである。このスウィングの大きさはかつてない規模である。

(*)日本の鉱物性燃料輸入額は28.4兆円(原油14.6兆円、天然ガス7.6兆円、ガソリン2.0兆円、石炭2.1兆円、他2.1兆円)、この大半の輸入価格は原油に連動すると考えられるので、40%の価格下落は11兆円のコスト引き下げに結び付く。

 第2に、遅延していたアベノミクス、円安く効果が一気に顕在化する。2014年までは円安下でも輸出数量が増えず、これまでの景気回復期のような生産誘発が起きていこなかったために、アベノミクスは息切れだ、誤りだ、などという批判が強かった。しかしアベノミクスの成果は着実にかつてない規模で企業収益の改善として蓄えられている。いわばダムには水が満々と蓄えられているが、下流は依然カラカラという状態なのである。いずれ蓄えられたダムの水が下流を大きく潤すことは確実である。