「日本が戦争での非道な行為をこれからも対外的に謝罪することは非生産的であり、止めるべきだ。まず謝罪は日本国内でナショナリストの反発を招き、国民の分裂をもたらす」
「日本の総理の再度の公式謝罪声明や国家決議による謝罪というジェスチャーは、日本国民同士の衝突や分裂を招くため、避けるべきだ。その代わりに日本政府も指導層も、戦前、戦時に日本がアジア各地で不当な弾圧や残虐を働いたことを認め、反省せねばならない」
リンド氏の主張には日本側からの反論もあろう。日本の首相のたびたびの謝罪に反発するのは、単に「日本国内のナショナリスト」だけなのか。「アジア各地での不当な弾圧や残虐」といちがいに断じられるのか。
韓国、中国はなぜ謝罪を求め続けるのか
リンド論文はさらに次のように述べていた。
「日本はその上で戦後の目覚ましい復興、民主主義の活力ある確立、経済と技術の世界最高水準の発展を対外的に誇示すべきだ。現在と未来の平和的、民主的な役割を他の諸国に対して強調すべきだ」
日本は過去ではなく、現在や未来を世界に向かって示すべきだというのである。
この部分の主張に異存のある日本人は少ないだろう。その上でリンド氏は歴史問題の和解では一方に謝罪があれば、他方に謝罪を受け入れる前向きな対応がなければ意味がないと指摘していた。
「韓国の指導層は自らの統治の正統性を示すために日本を叩く必要はもうない。中国共産党も自らの統治の正統性を支えるために国内の反日感情をあおってきたことは知られており、国民の日本嫌悪は本来それほど強いわけではないのだ」
要するに韓国も中国も日本の態度にかかわらず、自国の政権の統治が正しいのだということを自国民に誇示するために、日本を非難し、謝罪を求めてきたという構図を指摘しているのだ。