地方都市の疲弊を象徴するシャッター街

 昨年来「地方創生」という言葉が取り沙汰されるようになった。

 この「地方創生」という言葉が政策的に何を意味するか、ということについては後々説明するが、まずはそもそも「地方創生」なる政策が検討されるようになった背景について考えてみたい。

 この点しばしば識者(と呼ばれる方々が)、「アベノミクスは都会の富裕層のみを豊かにし、地方に恩恵がなかった。そのため地方活性化のための政策が必要となった」という説明をしていることを見るが、この主張は必ずしも現実を反映していない。

 アベノミクスが持続可能な経済政策かどうかについては議論が分かれるところではあるが、短期的には経済浮揚効果があったことは間違いなく、少なくとも消費増税までは都会に限らず全国的にGDPや失業率や景況調査において明らかな改善傾向が見えていた。

これまでのアベノミクスの成果について」(平成26年4月16日、内閣府)より
拡大画像表示

 そう考えると、ここにきて「地方創生」というテーマが政策トピックに上がってきたのは、アベノミクスという特殊政策要因に付随するものではなく、もっと他に原因があると考えるのが自然だ。