本記事は12月18日付フィスコ企業調査レポート(髙木証券)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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「ファンド・ラボ」「投信の窓口」で独自のコンサル営業を推進

 髙木証券<8625>は、大阪市北区に本店を置く中堅証券会社であり、近畿及び関東を中心に13店舗を構える。個人取引を主体とした対面営業に定評がある。明治6年(1873年)創業の老舗として、創業140周年を迎えた。同社は証券業界を取り巻く環境変化に対応し、更なる発展を遂げるため、新たな「髙木ブランド」の確立に着手した。対面営業の強みが生かせる投資信託を第一の戦略商品として位置付けるとともに、相続税対策などを含めたコンサルティング営業を強化することで、顧客との長期的な取引を前提とした「家計資産のベストパートナー」を目指している。

 同社戦略の柱は、投資信託のコンサルティング営業の強化である。今期は、取り扱う投資信託の品揃えを増やすとともに、同社が独自に開発したファンド・ラボシリーズ(ファンド分析ツール)により、客観的な分析に基づいた顧客目線のコンサルティング営業を開始した。また、全店舗に「投信の窓口」の設置を進めるなど、着実に営業体制の強化を図っている。

 2015年3月期上期の業績は、営業収益(売上高)が前期比32.1%減の3,690百万円、営業利益が同92.5%減の135百万円と減収減益となった。株式市況が低調に推移したことが、他の証券会社同様、同社業績の足を引っ張った。

 2015年3月期の業績予想については、市場動向の影響を受けやすい事業の特殊性から、他の証券会社同様に開示はない。下期も株式市況の動向に依存した業績となる可能性が高いが、投資信託のコンサルティング営業の強化を着実に図ることで、中長期的には安定収益源である信託報酬の比率を高めていく方針である。独自の営業スタイルや収益構造の変革に取り組む同社戦略の進展について注目したい。

Check Point

●投信の収益構成比の高さに特徴
●創業140周年、新生髙木証券として新たなスタート
●中長期の預かり資産を1兆円へ

会社概要

投信の収益構成比の高さに特徴

(1)事業概要

 同社は大阪市北区に本店を置く中堅証券会社である。店舗数は本店を含め13店舗を有し、そのうち、近畿が6店舗、関東が5店舗、中部(名古屋)が1店舗、九州(福岡)が1店舗となっている。個人取引を主体とした対面型の営業に定評があり、店舗を持たずに手数料の安さを売りとするインターネット証券とは一線を画している。特に、対面営業の強みを生かせる商品として、投資信託のコンサルティング営業に注力している。

 同社収益の柱は、株式や投資信託、債券など、顧客の有価証券売買を仲介することによる「受入手数料」であり、2014年3月期営業収益(売上高)の約76.5%を占めている。「受入手数料」を商品別に見ると、「株券」と「受益証券(投資信託)」の比率が高く、特に「投資信託」の構成比が高いところに同社の特徴がある。