7月の世界の主要株式市場は4月以来の上昇となったが、米国経済の二番底懸念がくすぶる中、先行きについてはまだ慎重な見方が多い。特に、ドル安の裏返しである円高に苛まれる日本の株式市場は反発力が弱く、8月になっても底這い圏内にとどまっている。その一方で、超低金利状態が続き、10年物国債の利回りは、米国で3%を下回り、日本ではついに1%割れを試し始めてきた。
このところの市場の動きを見る限り、景気悲観論者に分があるように見える。しかし、焦りは禁物。世界経済が再び下降局面に向かい始めたと考える必要は必ずしもない。
2010年のマーケットを一言で表現するならば「でこぼこ道」だ。
世界経済が緩やかながら着実な回復軌道を歩む中、株式市場は勝手に楽観と悲観を繰り返してきた。1月に上昇後反落、2月は下落後反発、3~4月上昇、5~6月下落、7月上昇とアップダウンを繰り返しているが、米国主要株式指標は、年初からほぼ横ばい圏に収まっている。
景気回復ペースへの期待が過ぎれば裏切られ、欧州ソブリン危機や緊縮財政への懸念が悲観論を増幅させ、悲観が過ぎればまた反発するという展開が続いている。
株式市場は経済を映し出す鏡だが、今年の相場のように楽観と悲観が交錯する状況では、乱反射が作り出すノイズを取り除いたうえで、世界経済の真実の姿を見極める必要がある。
転換する市場テーマ
株式市場を押し下げる要因は大きく2つに分類できる。1つは「不確実性」の高まり。もう1つは経済「ファンダメンタルズ」の悪化。