「長く生きる」から「健やかに生きる」へ

 日本が長寿の国であることは、世界的にも知られています。平成22(2010)年の国勢調査の結果によれば、日本の平均寿命は男性79.55歳、女性86.3歳。人生を80年過ごすことは日本の社会ではもはや珍しいことではありません。

 そんな中、最近「健康寿命」という言葉を耳にすることが多くなりました。健康寿命とは「人の寿命における、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を意味するものです。日本国憲法25条でも規定されている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を体現するものと言えるでしょう。

出典:厚生労働省「スマート・ライフ・プロジェクト」資料より作成

 上記のグラフは、平均寿命と健康寿命のギャップを示したものです。女性の方が長寿であることはよく知られていますが、平均寿命と健康寿命のギャップは女性が12.68歳、男性では9.13歳と約10歳のギャップが男女ともに存在しています。

 寝たきりや足腰が不自由な状況、あるいは通院や投薬で日常生活の自由な時間が制限される状況が10年も続くことは、当人にとって大きな負担であり、またそれを支える家族にとっても心労は大きいと考えられます。

 そうした観点から「健康寿命」が取り上げられ、健康に過ごす期間を伸ばすためには、若年のうちから健康意識を喚起することが重要であると提起されています。