カナダのスマートフォンメーカー、ブラックベリーは6月18日、モバイル端末向けのアプリケーションに関して、米アマゾン・ドットコムとライセンス契約を結んだと発表した。
これにより、今秋公開する基本ソフト(OS)の新版「ブラックベリー10.3」で、アマゾンのアプリ配信ストア「アマゾン・アップストア(Amazon Appstore)」をプリインストールする。ブラックベリー端末のユーザーは、アマゾンが提供する豊富なアプリを簡単にダウンロードできるようになるとしている。
両社合わせて40万本弱のアプリを提供
ブラックベリーにも「ブラックベリーワールド(BlackBerry World)」と呼ぶ自前のアプリ配信ストアがある。
だがここで提供されているアプリの数は13万本程度。これに対し、米グーグルの「グーグルプレイ(Google Play)」や米アップルの「アップストア(App Store)」には、それぞれ100万本以上ある。
またブラックベリーには、消費者に人気のあるグルーポン(Groupon)、ネットフリックス(Netflix)、ピンタレスト(Pinterest)といったアプリがない。
アマゾン・アップストアのアプリ数は約24万本。ブラックベリーと合わせても37万本にしかならず、グーグルやアップルの数には及ばない。だが今後は今までなかった人気アプリがそろい、端末の魅力が高まるとブラックベリーは期待している。
言わずもがなだが、アマゾンの端末はブラックベリーの端末とOSが異なる。従来はアマゾンが採用する「アンドロイド(Android)」向けアプリをブラックベリーで使うことはできなかったが、現行OSのブラックベリー10はアンドロイドと互換性がある。ただし、ブラックベリーにアンドロイドのアプリをインストールするには、面倒な作業が必要で、これまで一般消費者には向かなかった。
「時間も、エネルギーも、お金もない」
今回の提携は、ブラックベリーが経営の立て直しを図る中で発表された。スマートフォン市場で同社はシェアの低下が続いている。3月に発表した12月~2月期決算(PDF)では、4億2300万ドルの赤字を計上。英レジスターによると、これは2007年以来最悪の業績だ。
ブラックベリーは6月20日に2015会計年度第1四半期(3~5月期)の決算を発表するが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、投資家はこの四半期も赤字になると見ている。ブラックベリーは依然として経営再建中だからだ。同社は従業員の40%を削減するリストラ策を実施している最中でもある。