2014年2月27日は韓国第3位の財閥、SKグループにとって、悪夢の1日になった。この日、大法院(最高裁判所に相当)は、横領などの罪で2審で有罪判決を受けていたオーナーである崔泰源会長(チェ・テオン=53)と実弟である崔再源副会長(チェ・ジェオン=50)に対する上告審でそれぞれ2審判決通りの実刑有罪判決を出した。
トップ2人の獄中生活が続くことになった。崔泰源氏は近く、グループ企業の役員からすべて退く。「会長」職は維持する見通しで、大株主であることにも変わりはないが、経営の一線から退くこととなり、SKグループの経営に大きな影響が出ることは必死だ。
減刑の期待も虚しく、会長、副会長に実刑判決確定
大法院は、個人的な投資の失敗の穴埋めのためにグループ会社の資金450億ウォン(1円=10ウォン)を流用したなどとして横領などの罪で2審で有罪判決を受けていた崔泰源会長に対して懲役4年、崔再源副会長に対して3年半の実刑判決を出した高裁判決が適当だとの判断を示した。
SKグループでは密かに、大法院判決が高裁判決を差し戻し、減刑または執行猶予付き判決が出る道が開けるという期待があった。というのも、2014年2月に出た財閥総帥に対する裁判で、「期待を抱かせる」判決も出ていたからだ。
2月11日にソウル高裁は、背任や横領で1審で実刑判決を受けたハンファグループの金升淵会長(キム・スンヨン=62)に「懲役3年、執行猶予5年、社会奉仕活動300時間」の判決を下した。同じ日、同じ高裁でLIGグループの具滋元会長(ク・ジャウォン=79)に対しても「懲役3年、執行猶予5年」の判決が出た。
執行猶予付きとなれば、事実上経営復帰が可能となる。韓国では財閥総帥の経済犯罪の場合、「懲役3年、執行猶予5年」という判決が多かった。しかし、「経済犯罪に対する判決が甘い」という世論の反発もあり、ここ2~3年、実刑判決が増えていた。
ハンファグループとLIGグループ会長に対する判決で、再びもとの「懲役3年、執行猶予5年」という判決に戻るのではないかとの期待が出ていたのだ。
しかし、その3日後にはソウル地裁で機密資金を作るなどして会社の資金を横領したなどの罪で起訴されたCJグループの李在賢会長(イ・ジェヒョン=53)に対して「懲役4年」の実刑判決が出たばかりで、SKグループ外での「事前予想」は錯綜していた。
犯罪の悪質さや心証の悪さ、健康さも不利に?
SKグループの会長兄弟に対して実刑判決が出たのは、個人的な財テクの失敗を会社の資金で穴埋めしたという「犯罪の悪質さ」。さらに、裁判の過程で兄弟が証言をくるくる変えて、裁判官の心証を悪くしたことなどを指摘する声が多い。
また、ハンファグループ会長は重病で入退院を繰り返していた。LIGグループ会長も80歳近い高齢で持病を抱えていたのに対し、SKグループ会長兄弟が比較的若く「健康だ」という点も、マイナスに働いたと言う法曹関係者は多い。