北米報知 2014年1月1日1&2号
宇和島屋の精肉売り場で、毎日動物やキャラクターにデザインされたひき肉が飾られている。実は、この宇和島屋の肉売り場がネット上でも話題になっている。
デザインを手がけているのは、精肉売り場部長のキーラン・ゴムリーさん(30)。10年間精肉売り場の経験があり、宇和島屋で約4年半前に働き始めた。
一番最初の作品は「龍」で、何か目を引くものを、と作り始めたのがきっかけだという。買い物に訪れる人からの反応は良く、その次の作品「かぼちゃ」はウェブサイトにも載った。
初めの頃は、デザイン数も少なく、毎日展示することになるとは想像していなかったそうだ。約1年半前から始まった展示は、今ではシアトル店の名物のひとつとなっている。
現在作品は約110種類以上、記録として残されている写真は60種類、1300枚以上にのぼり、誰もが知るキャラクターから、オリジナルの作品まで様々だ。お気に入りは、「ひとの手」のデザインという。
季節やイベントに合わせ、年始には十二支の午を予定。ハロウィーンにはドラキュラやフランケンシュタインなど、見る人を飽きさせない。美術やデザインを学んだ経験はなく、「以前働いていたところで、お肉をばらの形にする技術を身につけて、それが役に立っています」とゴムリーさんは語る。
制作に使用するのは、手袋、ナイフ、デザインによっては色に変化をつけるための玉ねぎ。「衛生面では細心の注意をはかり、毎朝手袋をして冷蔵庫の中で作ることもあります」。
制作時間はデザインにもよるが、早いもので5分、難しいもので45分。アイデアは人気のアニメやゲームからヒントを得ることが多く、特徴をつかんで反映させることがポイントだと語る。
基本的にゴムリーさんが週5日、他の従業員が週2日でデザインを担当しており、お互いに違いがあるため、見分けることができるという。デザインは午前中9時半頃から始まり、10時半頃には店頭に並ぶ。
課外授業などで宇和島屋に訪れる小学生は、普段目にしない肉で作られたキャラクターや動物を見ると喜んでくれる。作り手にとって嬉しいひと時でもあると同時に、恐れている瞬間でもあると笑う。
「その日の作品に対して子どもたちは正直に評価してくれます」
オリジナルの作品を更に増やすことが今後の目標と意気込む。毎日のぞくようにしているという新井勉店長によると、肉をデザインして飾っているのは、宇和島屋では時間と技術的な面で可能なシアトル店だけという。
過去の作品はウェブサイトで閲覧できる。
(記事・写真=雨宮はるな)
(北米報知:本紙記事の無断転載を禁じます。JBpress では北米報知の許可を得て転載しています)