たとえば、社会福祉法人「しんまち元気村」(群馬県高崎市)の八木大輔さんは、同じく急速に高齢化が進むと言われる台湾で、数年前から市場調査を進めていた。結果、2012年には台湾の国立介護施設と友好提携施設契約を結び、日本の介護技術を輸出し始めている。

 このような事例も、私たちのもとにあまり届いていない「介護との新たな向き合い方」ではないだろうか。

介護業界は笑顔や進化の兆しにあふれている

 介護業界の話題は、とかく「きつい、汚い、低賃金」などのイメージで伝えられがちだ。永田さんは「介護業界はまだまだ黎明期です。施設運営、スタッフの教育、あるいはマネジメントなど、まだ確立できていない事業者があることも事実」だという。

 確かに介護業界は、施設によってスタッフの待遇に大きな差があるのが現状だ。給料面はもちろん、雰囲気や新人スタッフへのマネジメントを見ても「二極化している」と永田さんは語る。

 「それでも、介護業界が成長産業だということは間違いありません。街づくりとしての『介護』を創っている人や、海外へ輸出する『介護』に取り組んでいる人がいるのも事実です。

 成熟社会を迎え人と人とのつながりがもっと大切にされる社会になっていく中で、介護業界はみなさんが思っているより人々の笑顔や進化の兆しにあふれています。介護のホントを知ることで、この国の未来を感じてほしい。そしてより多くの若者が介護の場で活躍できる機会が広がっていってほしいと思います」

 今こそ介護業界はポジティブな情報を発信して、業界に対する「正しい認知」を促す時期であると言えよう。