「HELPMAN!JAPAN」を担当するリクルートの永田隆太さん

 実は介護とは、お年寄りの生活歴や考え方、今現在の行動を分析して、やりたいけどできないことをできるようにサポートしていく仕事。柔軟な発想やアイデアが求められるクリエイティブな職業なのです」(同)

 厳しさばかりが伝えられがちな介護の仕事だが、現実には「違った見方で介護と向き合っている人がたくさんいる」と永田さんは言う。

街づくりやイベント、私たちが知らない「介護」の形

 実際、近年の介護現場では新しいアイデアやIT技術を活用して介護と向き合う若者が増えている。その最たる例が、冒頭で述べた「Lifilm」の開発だ。

 「Lifilm」を開発したのは、当時、千葉工業大学の学生だった宇井吉美さん。彼女は在学中に、介護支援を目的とした機器やロボットの開発プロジェクト「aba(アバ)」を立ち上げた。その中で介護現場に足を運び、働く人たちのニーズを汲み取っていったという。

 そして作られたのが、おむつの中の尿をにおいで検知し、そのデータを統計処理してライフログ化していくことで排泄リズムを把握し、トイレ誘導が最適化される排泄検知シート「Lifilm」だった。「Lifilm」 は2011年10月の「学生ビジネスコンテスト in CHIBA」でグランプリを受賞。宇井さんはこれを機に起業し、介護の補助となる機器やロボットの開発を行っている。

 介護のジャンルで新たなモデルを生み出しているのは宇井さんだけではない。永田さんは、「柔軟な発想で介護業界に飛び込んでいる若者はどんどん増えています」と言う。

 たとえば、従来の介護事業を発展させ、行政を巻き込んだ街づくりやコミュニティ形成などに展開している施設がある。