中国海軍創設60周年で国際観艦式、国産原潜も初公開

日本近海を自由に航行しているとみられる中国の原子力潜水艦〔AFPBB News〕

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 一方、認められないのは中国原潜の日本領海内での潜没航行だ。国際法上、外国領海内で軍用艦船を含む船舶は無害通航権(武力行使・挑発行為をせず通過する権利)しか認められていない。

 特に、潜水艦の場合は浮上して国旗を掲げる義務があり、潜没航行は明らかに国際法違反だ。

 また、日本は中国側艦載ヘリ異常接近について抗議したが、中国側は「海上自衛隊の艦船が中国船を尾行、撮影し、正常な航行を妨害した」と譲らない。

 そう言われてしまえば、さらなる追及は難しい。また、米空母の近傍で潜水艦が浮上した事件は、浮上する直前まで米海軍が中国潜水艦の存在を十分捕捉できなかった点が大問題になったと記憶する。

 こう見てくると、中国海軍の活動をすべて国際法違反と決めつけるのは無理のようだ。重要なことは、過去数年間だけ見ても、中国海軍が急速、確実、かつ質・量ともに作戦能力を高めているという不都合な現実である。

米大型原潜が3隻同時に浮上

米原潜、微量の放射能漏れか 佐世保にも立ち寄り

韓国の釜山(プサン)に寄港した米国の原潜「オハイオ」(写真は2008年のもの)〔AFPBB News

 米海軍第7艦隊が前方展開する日本の近海ですらこうした状況だから、南シナ海では中国海軍がより大胆な行動を取っている可能性がある。

 実際に、東南アジア諸国では拡大する中国海軍の活動を懸念する声が高まっていると聞く。

 そうした現実を象徴するような記事が7月4日の香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストに掲載された。残念ながら、ネットで見る限り、日本の大手マスコミはこれをほとんど報じていない。

 米国の中国ウォッチャーたちの間では大いに注目された同記事は、去る6月28日に米海軍のオハイオ級原潜3隻がプサン(韓国)、スービック(フィリピン)、ディエゴガルシア(インド洋)に同時に寄港したと報じている。

 さらに同記事は、このような出来事は冷戦終了後初めてであり、最近影響力を強めつつある中国海軍に対する東アジア諸国の懸念を踏まえ、米国が中国に発したメッセージではないかと分析している。

「隠密行動」をあえて「見せた」米海軍

 これだけでピンとくるのは相当の軍事マニアだろう。この記事の重要性については若干注釈が必要である。最も興味深いのは、本来「見せない」はずの米原子力潜水艦の位置が、何と3隻も同時に、明らかになったことではなかろうか。