ニッケイ新聞 2013年11月19日

 ブラジルの映画産業が好調だ。今年の国産映画の上映本数は115本と史上最高数となり、興行収入は1億レアルだった昨年の2倍以上の2億4000万レアルに上った。

 1990年代に映画製作を助成する政策が始まってから「奪回」(Retomada)と呼ばれるムーブメントが起こったが、その時代にも到達できなかった数字だ。これまでの年間平均上映本数は80本程度だった。

 主なヒット作品は、人気の舞台作品を映画化し、男性俳優が主人公の中年女性を演じたコメディ『私の母はおかしな人』(Minha Mae e Uma Peca、95分)、幼馴染の5人組が現金輸送車を襲う作戦を企てる『Vai Que Da Certo』(110分)はそれぞれ450万人、270万人の観客動員を記録した。

 ほかにもミステリー調のドラマ『捜索』(Busca、91分)、『シネ・ハリウッディ』(Cine Holiudy、91分)はそれぞれ35万1000人、45万人を動員する成功を収めた。

 国産映画の割合は、昨年は8%だったものが、今年は18.8%まで伸びた。データを発表したブラジルの映画市場に特化したポータルサイトFilme Bのパウロ・セルジオ・アルメイダ代表は「ブラジル映画が強化された年。何か危機的なことでも起こらなければ、この傾向は今後も続き、成長していく」と分析する。

 今年ブラジル人が最も多く鑑賞した映画8本のうち、5本がコメディだ。パウロ・グスターボ、ファビオ・ポルシャット、グレゴリオ・ドゥビビエールなどのコメディ俳優の人気が高まっており、テレビや舞台での活躍もめざましい。

 「2013年が特別な年だったとは思わない。映画を鑑賞する新興中間層(クラスC)の存在も大きく、ブラジル人はますます国産映画、特にコメディ作品を受け入れるようになってきているが、それはしばらくしたら終わる。どの世界でもコメディは映画の一ジャンルに過ぎず、映画はコメディよりももっと幅があるものだから」

 伝説的な人気ロックバンド、レジオン・ウルバーナのリーダー、レナト・ルッソをテーマにした映画『Somos Tao Jovens』を監督したアントニオ・カルロス・フォントウラ氏はそう見解を示す。同映画は170万枚のチケットを売り上げ、今年の観客動員ランキング5位につけている。

 ただ、かく言うフォントウラ監督の次回作もコメディで、テレビ番組の「ラディカル・シック」の映画版の製作が予定されている。

(12日付ヴェージャ誌電子版より)

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